冬の雀は肩を寄せ合って生きています。人生を語らっているようにもみえます。

雀,冬の雀  福島県須賀川市

冬の一つの場面といえば、やはり雪が降っていることです。日本では、東北地方で積雪が見受けられますが写真を撮りに行くと様々な一面を垣間見ることができます。

例えば都会にいる雀でも、冬に大雪が降っている東北地方に行けば、今までと違った雀を見ることが可能です。
「語らい」の写真の中では、画面の中にずんぐりむっくりとした3羽を確認することができます。真ん中よりやや下側に2匹がおりどこか会話をしているように感じるのは気のせいではないでしょう。

スズメ同士が会話するかどうかは明確ではありませんが、何らかの意思表示をしており1カ所に集まっていることがうかがえます。

また、中央よりすぐ左上の小さな枝のところにもう一匹が止まっていることが確認できます。

これらは、家族の可能性もありますがこれは人間の推測にすぎません。

いずれにしても、寒い空気の中でどこか温かみのある風景であることは間違いないでしょう。

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スズメが群れをつくるのは、餌をさがすためといわれています。また、大きな鳥に襲われた時に被害を最小限にするためともいわれています。

いずれにしても、群れで見かけることが多いですが、やはり3匹の雀が群れになっていることが理解できるでしょう。
この写真の魅力は、背景に雪が写っていることです。自然豊かな景色の中で飛んでいる姿は見かけますが、雪の中で3匹がまるで語らいをしているような姿を見かけることはそれほど多くないでしょう。

それゆえ、大変貴重な写真と言えます。冬でも冬眠することなく、どこか寒そうにしながら3匹が群れている姿は大変温かみを感じることができます。

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家族のような感じもしますが、実際雀自体は家族で群れることはなくばらばらにとび立っていきますので、血のつながりのない鳥同士といえるかもしれません。
ですがどこか擬人化したくなるような温かみのある写真は見る人をほっこりさせるのは間違いありません。

スズメは日常的に飛んでいますが、写真に撮影する人はそれほど多くありません。
日常的にあるものは珍しいものと思わず、わざわざ写真撮影をしないわけです。それよりもむしろ、めったに見ることができない鳥などは撮影する人も多いはずです。
ですが、常日ごろから身近にいる雀でも景色が変わってしまうと、思わず初めて見た鳥のように感じてしまうので不思議です。

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雀語らいは、小さくても肩を寄せ合って生きている雀の姿が、人生を語っているようにみえる作品です。

小さな生き物は単体でも可愛らしいものですが、冬の風景の中となると可哀想に思えてきます。

しかし、力強く生きる様子は家族を連想させますし、協力しあって仲良く生きていることが伝わります。

この作品はまさに、人生を語り合う経験者のような、語らいを作品として切り取っている写真です。

小さく子供のような姿なのに、人生経験が豊富な風格を連想させますから、そのギャップがまた魅力となっています。

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寄り添っている2羽を後ろから眺めているかのような作品は、親が子供夫婦を見守っているイメージです。

2羽が一緒に行動している写真は、まるで夫婦が共に散歩をしたり旅をしている感じがします。

捉え方は人それぞれですし、色々と会話の内容の想像を掻き立てられますから、ただ鮮明に記録された写真とは異なる味わい深さがあります。

平均寿命は3年といわれており、冬はとても厳しい寒さが訪れますが、それでも小さな身体で色濃い人生を送っている、人生の厚みを感じさせます。

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雀は毎年夏頃の繁殖期を終えた後、秋頃には羽が生え変わる換羽期があり、それまでの比較的短い羽から柔らかくて暖かな羽が体中を覆うだけではなく、身体を膨らませて羽を開いて表面積を多くして酸素の層を作って身体を温めようとしている姿は誰から教えられたものでもなく本能的に行っている習性で、さながらふかふかのセーターを身に付けているかのようです。

家族思いの雀の群れは、一見するとエサをつついたり仲間の毛づくろいに夢中になっているかに思えますが、実は常に一定の距離感を保ち合いながら首を左右に振って周囲の様子を警戒し、仲間に何かあればすぐに助けたり警告の鳴き声を出して避難を促す体勢を整えています。

小さな身体であるからこそ、仲間との助け合いや連帯が大切で大自然の厳しさを乗り越えて次の世代へと命を繋いでいます。
冬の寒さに耐えながら肩を寄せ合って生きている姿は、まるで人生を語らい、この世界で生きていくための術を指南してるかのようにも見えます。

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1979年1月 キャノンAE-1 レンズCANON200mmF4 テレコンバーター2x フィルム冨士ネオパンSSS ASA400

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